お正月飾りの由来って?

 暗い話題が多かった今年も残すところ僅かになってきました。12月と言えば、
クリスマス、そして年末年始と慌ただしく過ぎていきます。
 
 今月、12月の「豆知識」では、新しい年が明るく、縁起が良い年になるように、
「お正月飾り」に付いてお伝えしようと思います。
 「お正月飾り」と言っても多種多様、様々な物が出回っています。玄関に飾る門松、
輪飾り、しめ飾りなどが主な物です。他にも、マンションのドア飾りや車の飾り、
ミニ門松などもあります。
 ここでは、代表的な物を幾つか紹介しましょう。
 まず、「しめ飾り」です。〆飾り、注連飾りなどとも書きますが、
簡単に「しめ飾り」にしましょう。
 
 そもそも「しめ」とは、神様が「占める」場所を表す縄の事で、神聖な場所や
神様を迎える印として張る縄の事です。藁束を左縄になって、それを合わせて
太くした物で、向って左が細く右が太くなるように飾ります。神棚に飾る物を太さから、
大根じめ、牛蒡じめ、などと呼び、台所の小さな神棚には荒神大根と言う
短くて小さい物を飾ります。
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 次に「輪飾り」です。藁を簡単に束ねただけの簡素な物で、
門松と一緒に飾ったり、家庭では玄関の扉やお勝手、トイレ、
町工場などでは大切な機械などにも飾ります。
 
 この輪飾りを発展させた物に「玉飾り」があります。
左の写真は多少簡素化した物ですが、3束の藁束を左縄に
になって太縄にし、輪にした物をベースにして、その周りに
縁起物を飾ります。この稲藁は繁栄と豊作の象徴です。
 
 飾り物は一番上から、「末広(すえひろ)」。これは扇の事で、
末広がりで家内の吉兆を表しています。奉書紙でもみ殻を包んで「福袋」、その下には
「橙(だいだい)」で、繁栄発展を代々受け継ぐと言う意味です。
 その橙には、松竹梅の造花や鶴の飾りなどが付けられて、下からは夫婦の長寿を祝す
「海老」が付きます。
 海老の足元には、奉書紙で巻かれた「根松とやぶこうじ」があります。「根松」は
根付きの常盤松の事で、常緑の葉が幸福の永遠性、赤い実が付いた「やぶこうじ」は
富貴と繁栄を意味しています。
 
 2枚の「ゆずり葉」は譲ると言う意味で父子の相続、円滑な世代交代や財産の継承を、
「昆布」は、喜こんぶ、「ほんだわら」は葉先の粒々が米俵を表します。左右に「裏白
(うらじろ)」を裏側の白い方を表にして使って、裏表のない心が清明である様を示します。
 内側には「御幣(ごへい)」、四季を表し1年間の不浄を払う物です。そして金銀の
水引は財産、財宝の意味です。
 
 この様に駄洒落や語呂合わせなどのオンパレードですが、縁起物とは本来その様な物です。毎年12月の15日と16日は浅草の浅草寺観音堂裏で「ガサ市」が開かれます。ここには
今紹介した材料がたくさん並んだお店で威勢良く売られています。ここには鳶職人さんや
仕事師さん、花屋なども仕入れに行きます。
 
 消費者の皆さんには、スーパーなどで売られている「造り物」ではなく、花屋で生の
材料で作られた「お飾り」を買って、お正月に備えていただきたいものです。